２８日に横浜ＢＵＮＴＡＩで行われたボクシングＷＢＯ世界バンタム級タイトルマッチで２度目の防衛に成功した王者・武居由樹（２８）＝大橋＝が２９日、横浜市で一夜明け会見に臨んだ。１回２分７秒での衝撃的なＴＫＯ勝ちを飾った試合や、統一戦も見据える今後の展望について語ったが、同ジムで練習前の４団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥（３２）が飛び入りで質問し、武居が答えに窮する珍しい一幕もあった。

　元ムエタイ王者の同級８位ユッタポン・トンデイ（３１）＝タイ＝との防衛戦は一方的な完勝劇でダメージもなく、指名試合になる見込みの次戦は９月頃になる見通しだという。その後はＷＢＡ休養王者の堤聖也（角海老宝石）との統一戦にも意欲を示す中、かねて対戦を熱望してきた那須川天心（帝拳）戦については「どうですかね…？」と含みを持たせ、大橋会長は「俺は天心（戦）だな（笑）。ファン目線でね」とニヤリ。武居も「ファンの人の声は大事にしたい」と追随した。

　さらに終盤、会見場となった大橋ジムに姿を見せていた井上尚弥が唐突に乱入し、「次は誰と戦いたいですか？」と至極プリミティブな質問を投げかけた。武居は「え…」と狼狽しながら「て、て、天心です」とおそるおそる答えたが、尚弥は「ん～」と首をかしげた。「違いましたか？」と答え合わせを求めたが、モンスターは「（正解は）考えてなかった」と残像を残して去って行った。

　想定外のモンスター襲来に、武居は「怖いな…」と声を震わせつつ、改めて報道陣から今後戦いたい相手を聞かれ、「誰でもいいっす。押忍！」と落ち着きを取り戻していた。