阿久津未来也 涙のツアー初制覇 プロ10年目「やっと勝てました」L字型パターに変更で不振克服 全英切符獲得で海外初挑戦へ
「男子ゴルフ・ミズノ・オープン・最終日」(1日・JFE瀬戸内海GC=パー72)
首位から出たプロ10年目の阿久津未来也(30)が4バーディー、3ボギーの71でスコアを伸ばし、通算13アンダーで逃げ切り、後続に4打差をつけて悲願のツアー初勝利を挙げた。通算9アンダーの2位に並んだ河本力(25)=大和証券=と宋永漢(33)=韓国=を加えた3人に、7月の全英オープンの出場権が与えられた。
15センチのパーパットを沈めると、阿久津は空を見上げて雄たけびを上げ、両手を握り締め、万感のガッツポーズを繰り返した。ほしかったツアー初勝利を、ついにその手に収めた。「もうめちゃくちゃうれしいです。勝ちたかった。やっと勝てました」。そう言って目に涙を浮かべた。
前日に続き、激しい風が吹きすさんだ。この日、アンダーで回ったのは67人中17人。いかに風が難易度を高めたかが分かる。その中で抜群の安定感を見せた。3日目までにつくった12アンダーのアドバンテージを生かし、ボギーを最小限に抑えるゴルフに徹した。
特に目を引いたのが、この日もパター。本人がポイントに挙げたのも12番のパーパットだった。「6メートルのフックライン。切れそうで切れない難しいラインでした。これを入れて、ギアが上がりました」
得意なはずのパットに違和感を持ったのは2、3年前からだった。だんだん重症化し、今季はイップス寸前にまで悪化。思い切ってパターをピン型からL字型に替えたのが先週から。構えからグリップ、ルーティンまで全てやり直した。その効果がいきなり出た。
海外メジャー初挑戦となる全英オープンの切符も手にした。「ロリー・マキロイ(英国)とかを見たら圧倒されるとは思いますが、選手としてちゃんと戦いたい」と抱負を口にした。
◆阿久津 未来也(あくつ・みきや) 1995年3月17日、栃木県出身。3歳からゴルフを始め、作新学院高を経て日大に進学。4年時に「日本学生」で優勝する。2016年のQTでプロ宣言し、17年にプロテスト合格。21年に初シードをつかむ。昨年は横浜ミナトチャンピオンシップで自己最高の2位になるなど賞金ランク21位に躍進した。身長180センチ、体重78キロ。